2024劇団雷花クリスマス公演 『でこぼこな光の子ら』

劇団雷花 クリスマス公演のお知らせ

今年のクリスマス公演では
心温まる新作『でこぼこな光の子ら』をお届けします。

生きづらさを抱える子どもたちが、
些細な大人の言葉に傷つきながらも
自分らしく生きようとする姿を描いた物語。

そんな彼らが、優しさと愛に満ちた光の子学園の
「まみしゃ園長先生」との出会いを通じて、
少しずつ自分たちの居場所と輝きを見つけていきます。

年1度のクリスマス公演!
愛と希望が織りなす感動のストーリーを
ぜひご覧ください。
劇団雷花が贈る
とっておきのひとときを
どうぞお楽しみに。

『でこぼこな光の子ら』制作秘話 

「場面緘黙症だった幼児期」

私は幼稚園の時、ひと言も言葉を発することなく
卒園しました。
家では普通に話していたので、
単に「極端な人見知り」と思われていたようです。
当時は、集団の中にいる時、
外界が異次元のように感じられました。
周りの人々が別世界で動いているような感覚…
とでも言うのでしょうか。
それは、恐ろしい世界でした。
だからといって全てが
恐ろしかったわけではありません。
担任の先生の優しい声、彦星や
サンタクロースに扮装して楽しませてくれる
園長先生のユーモア…
そうしたことの1つ1つを
嬉しく感じていました。
家に帰ると、家族にそんな出来事を
楽しそうに話していた記憶があります。
けれど幼稚園に来た途端、声が出なくなります。

「話さない」のではなく「話せない」のです。

それが「場面緘黙」という症状だということを
大人になってから知りました。
場面緘黙症とは、言葉を話す能力は
備わっているにもかかわらず、
学校や職場など特定の場所・状況になると
話すことができなくなる状態を言うそうです。
もともと不安になりやすい気質などが
原因のようです。

 

「運命を変えた親友との出会い」

 

3月生まれの私は、小学校に上がった時、
かなり体が小さかったのですが
同じくらいの身長のクラスメートと
席が並んでいました。
おっとりして、優しくちょっぴり泣き虫な女の子。
彼女と一緒にいると、今まで集団で感じていた
威圧感が薄らいでいったのでした。
そうして、異次元だった外界は
自分のいる世界となり、私は、次第に
集団の中でも声を出せるように
なっていったのでした。
幸運なことに、私は親友との出会いによって
場面緘黙症を克服することができました。
でも、理解されずに、声を出すこと
活発に外で遊ぶことを強要されて
傷ついてきた人たちはたくさんいると思います。
同級生の大きな声、悪ふざけ…
本人はその場だけの軽い気持ちでも
過敏な子どもにとっては、音も
否定的な言葉も「痛み」として感じられるのです。

 

「でこぼこな個性が大切に守られたら」

今回の劇『でこぼこな光の子ら』は
制作前に、出演者の皆さんに集まって頂いて
作品に取り入れたいエピソードなどを話し合いました。
物語の中にあるいくつかの出来事は、
実話をもとにしています。
脚本を書き進めながら

『もしも子どもたちのでこぼこな個性が大切に守られ
 育まれたら、どんな未来が待っているだろう?』

そんな思いが湧き起こってきました。

作中の光の子学園では、園長のまみしゃ先生が
子どもたち1人1人の個性を尊重し、
隠れた才能を
「光の種」と呼んで大切に育ててくれます。

劇の練習が進むに従って、過敏さも無口も
「気質」という「個性」だということが
理解されなかった私自身の子ども時代が
癒されていくことを感じています。

子どもたちはもちろん、大人もまた
でこぼこな個性を活かし合い、
1人では成しえないことを成していく…
これから、私たちはそんな時代を
生きていくのではないでしょうか。

 

脚本・監督 阿部小百合

 

出演者紹介

 

開催スケジュール